商品画像では分からないのですが、こちらの本は真っ赤な三方色付(小口染め。本の天地・小口の3カ所に染料で色を付けること)加工がされています。金の箔押しに赤と黒を合わせた装丁はまさに伝統的な日本のデザイン本という佇まいで、本を開く前から本書の世界観を感じることができます。

本書は大きく3つの章で構成されており、全編フルカラーで貴重な資料や写真がふんだんに掲載されています。

第1章は縄文時代から江戸時代まで、時代ごとの日本の装飾文様と歴史について。

話題の大河ドラマ「光る君へ」で注目を集める平安時代も、装束や調度に使われた文様やかさねの色目(配色)が解説されています。亀甲や菱文などの現代にも伝わる文様のいくつかは平安時代に芽生えたもの、というのは驚きでした。

鎌倉時代から安土桃山時代にかけての戦国武将の家紋や甲冑、華やかな陣羽織のデザインは見ていて飽きません。個人的には伊達政宗の黒(紺?)地にカラフルな水玉模様の陣羽織がお洒落で好きです。

江戸時代の歌舞伎役者や町人の着物の柄もたくさん掲載されていて、和風のデザインにしたいときや和柄を取りいれたいときに役立ちそうです。

第2章では装飾文様の形を「植物園」「動物園」「プラネタリウム」の3つにカテゴリ分けして、計25点のモチーフの意味や組合せについて解説しています。例えばプラネタリウムのカテゴリでは「星」「雪」「流水」など8つのモチーフがあり、和柄としておなじみの青海波や霞も紹介されています。

第3章は「文様と日本文学」と題して、「たけくらべ」「細雪」など学生時代の国語の教科書に載っていそうな作品の文様についての描写(着物の柄が多い)が紹介されています。

私は、ロゴデザインの参考としてこちらの本を使うことが多いです。例えば「かっこいい雲のモチーフを取りいれたいな」と思ったときに、巻末の索引で「雲」を調べます。平安時代の雲立湧(くもたてわく)という文様や、江戸時代の歌舞伎「鞘当」の主人公・不破伴左衛門の衣装に用いられた雲と稲妻の文様など、様々な時代の雲の装飾文様が掲載されており、大変重宝しています。

「和風のデザインのアイデアを得たい」「和柄の種類をたくさん知りたい」「日本の文化や歴史が好き」そんなあなたは、こちらの本を検討してみてはいかがでしょうか。

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